「志」特別選抜とは、神戸大学の受験方法の一つで総合型選抜のうち共通テストを受けずに受験できるものを指します。「志望理由」や「活動歴」はもちろん、志望学科の専門分野に対する「適性」や「学力」を有しているか、総合的に評価していくため共通テストは課されません。基礎的な学力も総合問題によって判断されます。
「志」特別選抜が実施されている学部は文学部・国際人間科学部・法学部・医学部・工学部・農学部・海洋政策科学部で、令和6年度の募集定員は62人でした。試験は第一次選抜と最終選抜の2回に分かれており、学部にもよりますが「書類審査」「模擬講義・レポート」「総合問題」「研究能力審査」「小論文」「面接・口頭試験」などが行われ、それぞれの結果に基づき合格者が決まります。
「志」特別選抜は、2015年に発表された「高大接続改革」を受け、知識や技能だけでない多面的・総合的な評価を導入するためにつくられました。筆記による学力評価だけでなく、受賞経験や留学、ボランティア、これまでの活動経験も評価しようとする動きを受けたものです。神戸大学で「志」特別選抜が導入されたのは2019年のこと。当時行われていた大学入試センター試験はすでに2020年入試分をもって廃止が決定しており、その動きを受けて大学入試センター試験などの共通テストを活用せずに評価する体制が整えられました。
適性はもちろん、志望理由もこれまでより重きを置いて評価する形式になっており、「先端の研究を深めたい」「グローバルに活躍し、世界的な課題の解決に貢献したい」といった熱い思いを持つ生徒の応募を増やす狙いがあります。
高大接続改革とは、文部科学省が掲げているもので、高校・大学入試・大学の3つを一体にした教育改革のことです。2012年8月に中央教育審議会で話し合われ、2015年1月に実行プランが発表されました。近年のグローバル化、技術革新、生産年齢人口の急減などを踏まえ、これからの時代でも新たな価値を創造できる力を育てるために「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性」の3要素に重点を置いて育成・評価することを目的としています。
実行プランの具体策は、大学入学者の選抜方法の見直し、学力評価のための新テスト実施、高等学校・大学教育の改革など。すでに見直しが進められており、神戸大学の「志」特別選抜もその一つです。
1年生の春休みに神戸GCPという国際的なフィールドで学修するプログラムに参加しました。プログラムの中にはフランスとイタリアの国際機関・協定大学での発表、現地の学生さんとの交流などがあり、自分の課題の認識や今後の学修への意欲を高める良い経験になったと思います。「志」特別選抜の志望理由書に記載していた『神戸大学の留学プログラムへの参加』。今回の神戸大学GCPへの参加はその実現になりました。
昭和女子大学で開かれた「第14回全国大学ビブリオバトル~首都決戦~(全国大学ビブリオバトル2023 本戦)」にて紹介した下村敦史『同姓同名』(幻冬舎)がグランドチャンプ本に選ばれ全国優勝が叶いました。ビブリオバトルとは5分間で本をプレゼンする競技。本を読み込む読解力や理解力、その魅力を5分で伝えるプレゼン力が求められます。大会で審査を行っていたチームからは"登場人物の緊迫感や読み手の焦燥感、スリリングな楽しさを体全体で表現していたのが印象的だった"と評価をいただきました。
令和7年度の選抜日程は以下のようになっています。募集要項の発表が7月にあり、9月の頭に出願を募集。その後、9月末から試験がはじまります。第1次選抜と最終選抜はそれぞれ合格発表があり、1次選抜の合格者が最終選抜に進める仕組みです。最終合格発表は11月末にあり、12月から入学の手続きやスクーリングがはじまります。
2024年(R6) | 6月18日 | 高校教員向け説明会 |
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7月1日 | 募集要項公表 | |
9月2日~9月6日 | 出願期間 | |
9月28日 | 第1次選抜(理系) | |
9月29日 | 第1次選抜(文系) | |
10月5日 | 第1次選抜予備日(理系・文系) | |
10月23日 | 第1次合格発表 | |
11月2日 | 最終選抜 | |
11月28日 | 最終合格発表 | |
12月9日 | 入学手続き | |
12月26日 | 第1回スクーリング | |
2025年(R7) | 1月~2月 | 入学前教育 |
2月19日 | 第2回スクーリング |
「志」特別選抜は、導入された2019年から年を追うごとに入学枠が増加傾向。実際に令和8年度の入学枠も増えており、今後も共通テストではなく独自の評価システムによる入学者を増やす可能性が高いでしょう。
しかし、入学枠の増加に伴い倍率も増加傾向。入学者の声を見ると「強い志」が求められているのがわかります。そのため神戸大学の入学を希望するなら、「志」特別選抜を視野に入れながらも同時に一般受験の対策を進めるのが得策でしょう。